山 行 報 告 | |
2014/5/2〜5 北ア・剣岳北方稜線 | メンバ:大谷、山本、駒崎、大高ぁ、大高ゅ、新村 記録:大谷 |
【コースタイム】
5月2日(金)
18:30横浜発〜1:00馬場島着
5月3日(土)
5:00起床〜6:00発〜11:50赤谷山着〜12:20テント設営
5月4日(日)
3:30起床〜6:30発〜7:45大窓着〜10:50池の平〜14:30小窓〜15:30三の窓
5月5日(月)
2:10起床〜4:30発〜8:00取水口〜9:00馬場島
【記 録】
5月2日(金)
圏央道・高尾〜関越〜長野自動車道〜立山ICで降り、馬場島は1時。駐車場はほぼ満車で、テントも数張設営されていた。当パーティも炊事棟近くにテントを張って仮眠した。
5月3日(土)
O高と山岳センターへ登山届を提出し、積雪や入山状況を尋ねると「今シーズンの剱の積雪は少なめ、入山者は平年並み」とのこと。
残雪期縦走に雪が少ないのは、基本的にあまり好条件ではない。リッジの通過やシュルンドに要注意だ。
林道を40分で「取入口」に到着した。みれば、3人パーティがパンツ1枚になって白萩川を渡渉し始めていた。ヤル気充分、なかなかだ。これは剱尾根狙いか。
もう1パーティは正面左の急登に取付きトラバースをしていたが、このパーティは多分小窓尾根だろう。
トポではこのあたりが赤谷尾根の取付きだが、よいポイントがなく、10分ほど戻って、少し緩斜面から赤谷尾根に分け入った。
すぐに残雪まじりの急登となり、また藪や雑木がうるさく快適ではなく踏み跡も判然としない。
見上げれば木々の間から、青空が見える。心配された天気は、今日一日なんとかもちそうだが…。
高度1500mを越えたあたりから樹林帯を抜け、スリップして滑落でもすれば、ただでは済まない狭いリッジ状の雪稜になってきた。2000mでは既に雪原となり、杖にしていた木枝を捨てピッケルを引っ張り出した。
小1時間ほど、アップダウンを繰り返し、やがて雪稜は赤谷山に吸収されるように最後の急登になった。少々悪い大岩を回り込み、ここからは高度計の標高を読みながら、じわじわと高度を上げ、12時前稜線に飛び出た。
稜線は強風が吹き、ガスっていて視界がきかず。去年張った幕場を探すこと30分、発見した幕場は岩陰で風も防ぐことができ快適だ。さっそく整地してテントを張り終える寸前、あっという間に篠突く雨となった。
未完成のテントに逃げ込むが、テントの底には数センチの水溜りができてしまった。ここで寝るのは、あまり快適ではないがこれも「非日常」、滅多にない機会なので楽しむことにしよう。S村が少し頭痛を訴えるが、これは軽い「高山病」だろう。
夕食はO谷の担当、鶏肉大盛りの「関東風雑煮」だ。楽しみにしていたビールを自宅冷蔵庫に忘れてきたことが悔やまる、がそこは「仲間」がいる幸せ、分けていただいた!
天気図をとって明日の天気をチェック、明日の剱は高気圧の圏内にすっぽり入るので好天が予想される。
5月4日(日)
6時半、曙光が照らしだしている稜線をいったん急降下し、狭いコルから詰め上げると、やがて快適な稜線歩きとなった。
聞けば、昨年はアクシデントが発生し、このコルからブナクラ谷へエスケープし、撤退を決めたそうだ。
小広い白萩山から赤ハゲ〜白ハゲへ続く稜線は狭く、緊張させられるが、早月尾根や奥深い剱の山々を仰ぎながらの大展望を楽しむ。
白ハゲからは稜線に登り返すルートと急降下するルートに分かれるが、リードするO高は躊躇なく、下降を選択。雪の状況は少々悪いが、正解だった。
大幅に時間を短縮した。ここから雪面を左トラバースすると大窓に出た。大窓はテント数張りが張れる。
ほっとしたのも束の間、こんどは大窓の頭へ登り返す。この大窓の頭をなんとかクリヤーしたと思ったら、やれやれこんどは池ノ平山への胸を突くような急登が始まった。
たまらず、ダブルアックスを使い両手両足で奮闘、いったいこの稜線はどこまで続くのか知らん。なんとか頂上に到達した。(と喜んだのはウソ。申し訳ありません。地図読み誤りでした。実は池ノ平山の頂上はもうひとつ先のピークだったのです!)
小窓のコルへの下りは残置シュリングなどがあるが、草付と岩のミックスで悪い。S村をフォローしながら慎重に下降した。コルで一本入れ、見上げる稜線は小窓の頭への急登だ。
じっくりゆっくり高度を上げれば、ようよう、小窓尾根からの稜線に合流した。眼前に天を衝くごとくに聳える岩壁は小窓南壁だ。登攀意欲をそそられる。今夏に登ろう。
小窓王までは雪稜をトラバース気味に一投足。ここで今回の山行で唯一ロープを使用した。急な雪壁を懸垂で30m下降するが、ロープは不要だったかも。
ここでロープフィックスし10mトラバース、さらに15m懸垂で下り、今日のテント場、待望の「三ノ窓」に降り立った。
みんなを待つ間、ザックからラジオを引っ張りだし、天気予報をチェックすると、「明日の降水確率は午前中60%、午後90%」とのこと。
予定では、明日は池ノ谷ガリーを詰め、剱本峰から早月尾根を下るのみ。計画完遂が、本望ではあるが…。
ところで、ラジオに耳を傾けながら何気に右上20m離れたところで雪面を無心に掘っている人を発見、この長丁場の縦走から到着後すかさず幕場作り、しかも見事なブロックを切り出しているこの男は、いったい何者?(後で聞けばJECCの「廣川健太郎」氏とのことだった)。
天気予報を重要視し、明日は三ノ窓雪渓を下ることに決定した。
5月5日(月)
三ノ窓雪渓、いきなりの急降下。技術的にも危険度もさほど問題になる下りではないが、延々と続くとさすがに、膝にこたえる。
剱尾根末端の二俣から見上げる剱尾根、早月尾根そして山深い険谷のこの景観は剱のスケールの大きさを感じさせるに充分だ。
前日に地形図を確認しておいたが、1500mから1150mにかけて谷は深いゴルジュとなり、やがて白萩川を合わせた地点で、雪渓は途絶え急流に行く手を阻まれた。
まずは、怖いものしらず泣く子も黙るK崎が渡渉を敢行、全員が次々に渡渉し、あとは入山のときの「取入口の渡渉だけだ」と思って一安心と思いきや、またまた渡渉しなくては渡れない流水に行きあたった。
5月とはいえ、雪解けの水は痛いほど冷たく、足にジーンとこたえる。早月を下れれば「つらい渡渉はしなくてすんだのに」と愚痴のひとつもいいたくなる。
右岸左岸と沢を下れば、やがてくだんの取入口に到達し、3度目となる最後の渡渉だ。
そして見慣れた林道を馬場島へ向かう。足は重いが、無事に山行を終えた安堵感と剱の雪と岩そして絶景を楽しんだ素晴らしい山行への充実感で心は軽い。この思い出深い山行をともにしてくれた仲間たちに感謝!
残雪の林道を三々五々歩きながら、雪解けの沢から芽を出しているフキノトウ、ゼンマイ、コゴミなどゲット。今日の宴会のつまみだ。
某温泉で汗を流した。気分爽快。その後スーパーに立ち寄って日本海の恵みをしこたま買い込み、親不知の「某所」へ。延々5時間以上の楽しい宴会は続いた。